「ヒーローアカデミア」と同じ世界を舞台にしたスピンオフ作品『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』。本編では描ききれない“ヒーロー未満”の存在に焦点を当てた本作は、表の栄光の裏にある泥臭くも胸を打つストーリーが魅力です。
■ 作品概要
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原作:古橋秀之(脚本)・別天荒人(作画)・堀越耕平(監修)
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ジャンル:アクション、ヒーロー、スピンオフ
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連載期間:2016年~2022年(全15巻完結)
『僕のヒーローアカデミア』のスピンオフとして、「正規のヒーロー資格を持たない者たち=ヴィジランテ」が、街の平和を守るために影で奔走する姿を描いた物語です。本編と世界観を共有しながら、視点がガラリと変わることで、より深い“ヒーロー観”に触れることができます。
■ レビュー:もう一つのヒーロー物語の重み
◆ ヒーローになれなかった青年の葛藤と成長
主人公・“コーイチ”は、どこにでもいるような普通の青年。しかし彼は、「誰かの助けになりたい」という純粋な気持ちで、自分なりの方法で街を守ろうとします。本編のような派手な戦いは少ないですが、その分リアリティがあり、等身大の成長物語として心に刺さります。
◆ 本編では見られない“社会の裏側”
ヒーロー制度や個性の社会的制約、弱者の声が届かないシステムなど、ヴィジランテを通じて見えてくる「ヒーロー社会の矛盾」が描かれるのも本作の醍醐味です。
中でも、ナックルダスターというキャラクターの存在は印象的。無個性ながらも悪と戦い続ける姿は、本作のテーマ「ヒーローとは何か」を象徴しています。
◆ 本編ファンもニヤリとできる繋がり
オールマイトやイレイザーヘッドなど、本編キャラが登場する場面もあり、時系列的に『ヒロアカ』より少し前の時代を描いているため、補完的な楽しみ方もできます。ファンには嬉しい“裏ヒロアカ”としても必見です。
■ 総評
『ヴィジランテ』は、正統派ヒーローものではないからこそ描ける、ヒーローの“本質”に迫った良作です。表舞台で光を浴びるヒーローではなく、影で支える者たちにこそドラマがある。そんな想いを抱かせてくれる作品でした。
■ こんな人におすすめ!
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『僕のヒーローアカデミア』ファン
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スピンオフで世界観をもっと深く楽しみたい人
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正義と葛藤が交差するドラマが好き
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無個性でも戦う姿に心を動かされたい人
■ 評価(5段階)
項目 | 評価 |
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ストーリーの深さ | ★★★★★ |
キャラクターの魅力 | ★★★★☆ |
本編とのリンク度 | ★★★★☆ |
社会テーマの描き方 | ★★★★★ |
総合満足度 | ★★★★★ |
■ 最後に
「ヒーローとは、免許を持っている者のことではない」
この一言に、本作のすべてが詰まっています。『僕のヒーローアカデミア』が好きな人にはもちろん、ヒーローの裏側を描く作品を求めている方にも、自信をもっておすすめできる作品です。
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